強みを引き出す話し方コンサルタント池田弘子です。
以前カルチャー講座にお越し下さっていた女性が
15年ぶりにご連絡を下さり
レッスンにお申込み下さいました。
15年前にも同じ相談を受けたことを
私は思い出しました。
あれから15年。
人間というものは
心の奥に深く眠るものを
いつまでも手離せず
過ごしてしまうものなのだと
感じています。
彼女の抱えているお悩みは
多くの方が共感するものが
あるのでは、と思います。
体験談をご紹介してもOKということで
お話します。
彼女はご夫婦の関係で15年前にも
悩んでいました。
当時40歳。
とても魅力的な女性で
いわゆる異性から「モテる」女性です。
そして彼女自身も自覚をしています。
性に対しては解放的な考えを当時から
お持ちでご主人がいながらも
異性と付き合うということは
彼女にとっては罪悪感を感じることでは
ありませんでした。
彼女は小さい頃、
親から拒絶されたり
怒鳴られたりすることが多く
猫かわいがりをされたかと思いきや
いきなり冷たく突き放されるという体験の中で
育ちました。
親の顔色を見ながら過ごす
いわゆる「いい子」だったそうです。
高校生の頃から
異性と付き合いはじめますが
惹かれるのはいつもかなり年上の
男性ばかり。
「私はファザコンだと思うんです」
彼女は自分のことを
そう自覚しています。
その後、いろいろな男性と付き合ったのち
今のご主人と結婚しました。
しかし、年も近い真面目なサラリーマンの
ご主人には刺激を感じず
家の中では「不満」ばかり。
外に出ると魅力的な
年上の異性とたくさん出会い
優しくされることで
自分の価値を感じていたそうです。
しかし
彼女の心がだんだん不安定になってきたのが
50歳を過ぎた頃から、です。
誰と付き合っても
最初はよくても
だんだん彼女自身の要求が
大きくなっていくんです。
もっと愛してよ
もっと大事にしてよ
一番にしてよ
もっと私をほめてよ
もっともっともっと・・・。
距離が近くなると
だんだん相手のことが嫌になってくるんです。
もっと私の事を
察してよ
もっと私が居心地がいいように
私の思うように接してちょうだいよ
という要求がどんどん強くなってくる
これが彼女の傾向です。
彼女は15年前に会った時にもすでに
心理学やカウンセリングなどを
ご自分で勉強していました。
それは自分の中にある
悩みや葛藤が大きかったからこそ。
今、55歳の彼女は
ここにきて
行き詰っているんだと
おっしゃいます。
八方塞がりなんだ、と。
好き勝ってしてきたから
ご主人との夫婦関係は
さっぱり構築されておらず
お互い一緒に住んでいても
まったく心通じ合えるものはなくさみしい。
今までチヤホヤしてくれていた
男性たちも
世間話をしていたり
夢みたいな話をしている時は
いいのですが
大事な話になったり
将来のことや
お金の事
家族のことなど
お互いの考え方に関する話しになると
空気が怪しくなり
お互いが話を誤魔化して
うやむやにします。
外で出会う魅力的だった人たちは
私のことをよく誉めてくれます。
きれいだと言ってくれるし
女性らしいと言ってくれるし
唯一無二の存在だと言ってくれます。
でも、
根本的な突っ込んだ話になると
うやむやにするという
関係ばかり。
見た目も老けてきたし
以前とは違う自分がいる。
このまま40代の頃のような考え方で
突っ走っていくと
どうなってしまうだろう?
という不安と恐怖でいっぱい。
自分の正しいと思っていた価値観が
間違っていたのか?
ひょっとしてこの道はいいと思っていたけど
私は間違った道を歩いてきていたんじゃないだろうか?
迷路から抜けたい。
間違っているなら
間違っているとパシリと教えて欲しい。
いかがでしょうか?
50代前後の女性は
ホルモンバランスの関係もあり
非常に不安定になる時期でもあります。
そして今は
女性も好きなように生きればいい
我慢せず自分の思う道を歩けばいい
そのような風潮です。
逆に
女性達はしんどいのかも、
しれません。
どっちがいいのか
あなたが自己責任で
決めて下さいよ。
どっちに行ってもいいですよ。
その代わり
責任は自分で取るんですよ。
ということだから、です。
幼児期に親から拒絶されたり
怒鳴られたり
夫婦仲が良くない環境で育った女性は
大人になった時
相手の男性に
父親にもらえるはずだった愛情を
求めます。
「そこまではどんな男性でも無理!」
と思うほどの無理な要求をしたり
わがままを繰り返します。
当然、その要求は受け入れられず
「この人は私をわかってくれない」と
なるんです。
そこで次々と意識が
外に向かいます。
夫婦という関係は
話し合わなくてはいけないことが
山のようにある関係です。
本気で関わっていかなくては
成り立っていかない関係です。
だから、いいことばかりを言っていられない
これが現実です。
お互いの存在に
責任を持たないといけない関係だからこそ
揉めることもあり
本気でやりあったりするわけです。
しかし
外の関係は
時々会う
都合のいい
関係です。
居心地がいいんです。
ほめてもらえます。
こちらもいいところしか
見えません。
相手も、です。
お互いが
いいとこキャンペーンを
開催中なんです。
毎日キャンペーンはしんどいですが
時々なので可能なんです。
しかし
賢い女性は知っておかなくてはいけません。
自分と深く関係したくない相手は
あなたに優しい
ということを。
耳障りがいい言葉はいくらでもいえます。
責任がないから、です。
責任がない人は
ほめます。
ほめるだけ、です。
幼児期に愛情不足で育った子供は
大人になっても
50になっても
60になっても
70になっても
愛情を求めます。
さみしいから、です。
私のもとには
小さい頃
親にひどいことをされた
愛されなかった
親が離婚して不安定だった
母親か父親が浮気して出て行った
といったことで
幼児期に受けたトラウマがあるから
今の人間関係に影響がでていると思う
ということでご相談に来られる方は多いです。
小さな子供が親から拒絶されたり
怒鳴られたりするのは
確かに恐ろしくて怖いこと。
それはあたりまえです。
わかります。
でも、私たちはもう大人です。
なぜそんな親なのか?
どういう人間だから
子供にそんな態度をとったのか?
それを考えてみるんです。
そのうえで
今、小さい頃の体験が原因で
自分がおかしなことをしてしまうのだとしたら
それはどうしてなのか?
そうやって自分を分析していくんです。
今、不安だと思うのなら
どうして不安になるのか?
何が一体怖いのか?
掘り下げていくんです。
自分の根っこに「さみしい」があると
関わる人を
表面だけで見てしまい
大事にすべき人を間違ってしまいます。
深く
関係したくない人とは仲がいいんです。
本気で関わっていくなら
間違ったことをしていたら
怒鳴ってしまうかもしれない
これが当たりまえです。
おばあちゃんは孫を
ほめるだけ、です。
母親や父親は
怒鳴ります。
責任があるから、です。
リスクがあるから、です。
本気で関わってくれる人は
誰なのか?
今回彼女は
ご主人との関係をもう一度修復しようと
動き始めました。
意識が変われば
言葉が変わります。
間違っていたと
思ったなら
ハッと気が付いた瞬間に
方向転換すればいいんです。
まだ55歳。
間に合います。
外へ外へ愛情を求めに出かけていた意識を
内にあるものへ
向けると気が付く
それだけで
変わります。
私が長年主宰していた
母性型勉強会では
このようなご相談が
毎回多くテーブルの上に出されていました。
ものさしがないと
人は迷路にはまります。
耳障りのいい言葉ばかりをいう人との関係は
末路は見えています。
緊急事態が起こった時
修羅場になった時
その仮面の下にあるものに
気づきます。
根っこにあるさみしさに
自分が気が付いていけば
人との関係は
どんどん良くなります。
変な人ばかり
自分のところにくるなあ
そんな時は
自分の心が「変」だということ。
それが「ものさし」です。
母性型勉強会を
またやって欲しいというメッセージを頂いています。
また、開催を考えますね。
次回の知ったかぶり講座は
「金子みすず」です。
私が大好きな「寄りかからず」という詩をご紹介しておきますね。
自分の感受性くらい
ぱさぱさに乾いていく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし初心消えかかるを
暮らしのせいにはするな
そもそもが、ひよわな志にすぎなかった駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
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